新選組と最強子供剣士

ふーん、土方さん、もう僕のペースには馴れてきたみたいだ。


ちぇ、おもしろくない。


「もちろん」


交渉成立。


よっしゃ、これで条件は整った。


「剣壱、悪いんだが、ちょっと頼まれてくれねえか?」


「何?」


「明日の夜、この屯所から誰も出ねえように見張っててほしい」


真剣な表情。


その表情から読み取れるもの。


〈覚悟〉そして少しの〈後悔〉


なるほど。


明日、誰かが消える。


「いいよ。頼まれた」


僕はそう言って、立つ。


部屋を出ようと襖を開けると、なぜか心がモヤモヤとする。


‥‥‥ああ、もう!


「土方さん、後悔はしない道を選びなよ」


僕はそれだけを言って、部屋を出た。


くそぉ、なんなんだよ。


殺すんだから、あんな顔しないでよ。


「剣壱君」


「山南さん‥‥‥」


廊下を歩いていると、相変わらず穏やかな笑みを浮かべた山南さんがいた。


「どうかしましたか?」


「なんで?」


「バツの悪そうな顔をしてますよ」


そんな顔をしているだろうか?


いや、山南さんが言うのだから、しているのだろう。


「明日、やるんでしょ?」