刹那、男が叫ぶ暇もなく息絶えた。


「う、うわぁ!」


「き、きさまぁ!!」


あらら、協力者斬っちゃったよ。


ま、この感じじゃ‥‥‥‥


「う"ぁ!」


「ぎゃぁ!」


後の2人も斬っちゃうよねぇ。


強い血の匂いが広がる。


特等席で見ちゃったかも。


僕がいる場所は、三人の男と男がちょうど向かいあっているのが見える場所。


そこにくつろぎ状態で座っている。


シーンと静まり返っている。


男は無言で刀の血を払い、刀をしまった。


その瞬間、空の曇が開いて月が顔を出した。


男の姿が鮮明に現れる。


美しい艶やかな黒髪。

夜空に浮かぶ月のような不思議な瞳。


おお、これはまたイケメンだ。


「!」


不意に、男の顔が僕の方に向いた。


僕は笑って男に声をかけた。


「こんばんわ」


「貴様は昼間の‥‥‥」


「見事な太刀筋だったよ」


「‥‥‥小僧、名前は?」


「僕?僕は剣壱。お兄さんは?」


「俺は水霧 白凰(ミズギリ ハクオウ)だ」


水霧白凰ね。


「覚えておくよ。じゃあね、白凰」


僕がそう言うと叶が肩に乗る。


そして屋根の上を駆けた。


僕は何故かワクワクしていた。


あの男は、白凰は、きっと僕を楽しませてくれる。