半年後、日本に戻ってきた昴と私は


お母さんに急かされるように



結婚した。



そして今、私はイタリアへと向かう飛行機の中にいた。


「大丈夫、梨子?長時間だから寝てけよ。」


そう言って私のおでこにキスをする昴。


今度は私も昴についていく。


「なんかあったら、全部俺に言えよ?俺が何でもしてやるから。」


そう言っては、チュッチュッとおでこにキスをする。


「なんか昴、イタリアの男みたい。イメージだけど。」


「そうかな?あーでも、向こうにいったら男は全部無視しろよ。結婚してるって指輪見せて………いや、やっぱ無視だな。走って逃げろ。」


「もー大丈夫だよ。」


「いゃ、でもなっ!」


私はまだ心配している昴の口を、自分の唇でふさいだ。



「………なに。5年の間にこんなことも出来るようになったわけ?」


そう言ってニヤニヤとする昴。



「そうよ。私だってこの5年、無駄に過ごした訳じゃないよ。」


「ん?でもそれは相手がいたから出来るわけで……」


「あっ気づいたぁー??」


そう言って笑うと、昴は悔しそうに歯ぎしりすると


「ついたら覚えとけよ!ぜってぇー寝かせねぇ。今までの男、全部消してやるっ!!」



そう言ってぎゅぅっと抱きしめた。



思い出に、しようと思ってた。


思い出に、しないといけないと思ってた。


でもこれからはまた、昴と思い出を作っていける。


新しい思い出をいっぱい増やして


いつまでも手をつないで。


私と昴が、ずっといっしょにいれますように。


飛行機の中、雲の上


とても綺麗な青空を見ながら


そう思った。




『いつまでも昴が、私のおでこにキスをしてくれますように。』