ブランコに座っている1つの影。


後ろを向いているから顔なんて見えない。


それなのに私の心臓は、鼓動が早くなりドキドキと脈打った。


無性に逃げたくなる。


だって、終わりにするつもりでここにきた。



それなのに、彼は、昴はそこにいた。




5年たってもわかる、昴の後ろ姿。


私は声を出そうとするけど出来ない。


進むことも、戻ることも出来ない。



「……梨子?」



ブランコに乗っている人が振り向く。





昴だ。





目が合う。






「っつ!!梨子!!梨子!!」



昴はブランコから立ち上がると私のもとへと駆けてくる。



そして、ぎゅぅっと抱きしめた。