《用意――》


耀ちゃんの居るスタート地点で、競技場全体が号砲を待った





《バアンッ》



いいスタート!!
部内で1番スタートの上手い耀ちゃんが、抜群のスタートをした
そのスタートは、全国で戦える!!
スタートが失敗すると走りがガタガタになっちゃう耀ちゃんだけど
スタートがいいと、加速とスピードのよさは瑞希かあたし並なんだから!!


耀ちゃんが、すぐそばまで迫っていた



『耀ちゃんっ!!ファイトッ!!!!』

右手を軽く上げて、チェックマークを越えるのを待った


……







越えた!!!!


振り向かずに走り出した
少しだけ歩幅を伸ばしてみたけど、今の耀ちゃんなら余裕で追いつくはず




「ハイッ!!」

耀ちゃんのデカくてよく通る声がした

バッと左手を横に出した



ぱしっ


しっかりとバトンの感覚
奪う様に耀ちゃんからバトンを受け取って、そのまま全力で加速した



「千夏先輩っ、ファイトーーーー!!!!」

背後に、耀ちゃんの声を聞いた