裕樹だった
裕樹が笑顔で、芦屋の右肩に手を置いていた

「…何だよ」
「ちょーっと今のは言い過ぎじゃねぇー?」
「そーか?ホントのことだろ」
「野郎ォ…ッ」

瑞希が身を乗り出した
夕が、また瑞希の腕を掴んで止めた

「あんま言い過ぎだとサ、俺等チーム競技じゃん?プレーがガタガタになるから止めた方がいーぜ」

その言葉を、芦屋が鼻で笑った

「ハッ。どーせ試合に出れねぇんだから関係無ぇだろ?」


「ハハハ」


裕樹の笑い声が、低くなっていった
どことなく、さっきの笑顔とは違う気がする

笑顔のまま、裕樹が低い声で言った






「お前、夕が怪我してくれたから試合出れんだぞ。夕の怪我が無かったら、お前はベンチにも入れなかったぜ」

「…そんなこと、無ぇよ」



「見てろ。夕の怪我が治ったら、お前なんて即行応援席行きだ」

裕樹が芦屋の肩から手を離した



「あんま調子乗ってっと、恥かくぜ」