・・・・・・ギュム。
・・・・・・・・・・ギュムギュム。


吹き荒む白き世界に変わった恰好をした者が歩いていた。
その者は一枚の紙を眺め廻りを見渡した。

が、見える範囲は全て変わりようのないただ、ただ真っ白い景色だけであった。



「ん~、迷ったみたいだよ☆若~♪」

笑いながらその者は持っていた紙を畳むと、「若」と呼んだ者へと手渡し宛てもなく足を進め始めた。


「・・・・・・・父さんと来ればよかった」

そうポツリと呟いた言葉は舞う雪に掻き消されたのだった。