「おっ、なんだあの子。可愛いな!」

「ちゃんと─」

噛んでから食べろよ、と言おうとして男の目線の先を追いかけた彼の言葉は出なかった。

「確かに可愛いな。」

オープンキャンパスのその日、訪れていたたくさんの高校生達の中の2人組。
そこに彼女はいた。

─彩華……─

「ん?なんか言ったか?」

「いや、何も」

女子高生から携帯に視線を戻す。

「いくらなんでも女子高生はやめたれよ!」

と言葉では言いながら食堂を出ていく彼女らを名残惜しげに見ていたら説得力も何もない。
お前がな、と言い返して彼らはまた他愛もない会話を始めた。