背中合わせの恋


私はあの瞬間から父のことが大嫌いになった


それからは父の顔を見なくていいようにわざと時間帯をずらしていた

父も家に近寄らなくなったから自然とそれもする必要はなかったけど


「本当冷え切った家庭ね」

「嫌になるくらいにね」


私の家とは違って香織の家は温かい家庭。

ほんわかしたお母さんに、医者をしながらも家族の事を第一に考えてる優しい立派なお父さん。

そんな2人から愛されて育った香織からしたら愛情なんてこれっぽっちもない私の家のこと信じられないんだろうな・・・


-コンコン

「神崎凛様。お時間になりました」

「今行きます」


ついに来たか・・・


「行ってくるね」

「・・・うん。凛は一人じゃないってこと忘れないでね」

「ありがとう」


その言葉だけで十分


「凛、誕生日おめでとう」

「ありがと」


すっかり忘れてた自分の誕生日

祝ってくれるのは香織一人なんだろうね・・・