背中合わせの恋



今日はマスコミも来ていると聞いている

会社の提携話と縁談を同時発表し株価上昇を見込むそうだ

隠す間もなく知れ渡ることになるだろう


「まーあんたたちなら黙ってても注目集めそうだけどね」

「大学ではそんなことないでしょう」

「何言ってんの。ミスターとミスでしょう?」

「それやめて。不本意だったんだから」

「圧倒的投票数だったのよ?二人とも。お似合いってみんな噂してたのよ~?」

「馬鹿にしてるでしょう?」


ミスターミスコンは文化祭で行われた

自薦・他薦問わず投票し、その年の美男美女を選ぶという何とも単純明快なイベント

勝手に投票された私と結城夏哉は揃ってミス・ミスターに輝いた


その後のことを思い出すともう二度と注目を浴びたくないと思うほど嫌なものだった


「してないわよ。いくら大学でも美男美女に人は群がるのよ。厄介な人物がいるかもしれないから気をつけなさいよ」

「分かってる」


そう甘い人物ばかりじゃないことぐらい自覚している


周りは敵だらけ