背中合わせの恋


私は一人じゃないんだと思える


まだ、大丈夫


「海斗は?」


招待状渡したはずなんだけど・・・


「婚約者より先に男の俺が見るのは遠慮した方がいいだろうって。変なところで真面目なんだから」

「そんなところも好きなくせに」

「まあね」


香織と海斗は幼馴染で中等部1年の頃から付き合って高等部卒業した今でもお互いを尊重し合い、想いステキな関係を続けている


そんな2人は私の憧れだ


「結城夏哉とは会ったの?」

「ううん」


このパーティーの打合せは当事者の私たちを差し置いて父や祖父が行っていたし、私が出張ることは全くなかった

それは結城夏哉も同じ

向こうは父と5歳上の兄が取引しているみたいで本人は関わっていないらしい


「あんたそんなんで一緒に暮らせるの?」

「言わないでよ・・・それ。今から憂鬱なんだから」


婚約パーティーと同時に聞かされた同棲の話


両家の共同出資にて大学近くの高級マンションの最上階を買い取り婚約パーティー後はそこに移り2人で住むよう言われた

もう荷物は運びいれているという徹底ぶり

自分の家に未練なんてないけど、こう簡単に追い出されると物悲しくなる


「大学ではどうするの?」

「隠せないでしょ・・・」