背中合わせの恋



そんなこんなで私は好きでもない結城夏哉と会社のために結婚する


ほんと、やってられない


鏡に映った自分の姿を見て失笑してしまった


だってあまりにも普段の私とかけ離れているんだもの・・・


祖父が用意したであろうピンクのドレスにティアラ。いつの間にか左右の手と足の指にはきれいなマニキュアが施されている


こんなの私じゃない


お飾り人形じゃない


私じゃなくたって・・・



-コンコン


「・・・はい」

「凛・・・。」

「香織!来てくれたのね」


控室に顔を出してくれたのは私の唯一の親友、水森香織

私たちは旧家やお金持ちの御曹司・ご令嬢が通う天ヶ崎学園の同級生

中等部からの仲の私たち。もちろんこの結婚が不本意であることを重々承知だ

だからきっと来てくれないと思った


ぎりぎりまで香織は反対してたから


「祝いに来たわけじゃないから」

「うん」

「今でも納得してないけど、私は凛の親友だから、凛がすることを応援する」

「うん。・・・ありがと」


そう言ってくれる香織がいるだけでいい