「周りがいうような完璧な男なんていないだろ」

「そう言いながらもその期待に応えるからまた女子に騒がれるんでしょう?」

「期待に応えているつもりはない」

「何、それ嫌味?」


そんなつもりはなくても出来ちゃう俺すごいでしょ?って言いたいの?


「そんな出来た男じゃないよ。俺は」

「何を言ってんだか」

「所詮俺は兄貴の足元にも及ばないからな」

「嫌いなの?お兄さん」


結城夏哉のお兄さん、結城颯さんは私たちの5歳上で大学在学時から会社入りし、父に負けず劣らずの才覚の持ち主

自分より倍以上離れた幹部達を従えて結城家の発展に貢献した手腕はこの前の経済紙で特集を組まれるほどだ


「嫌いじゃない。けど俺はああはなれない」

「ならなくていいんじゃない?」

「・・・周りはそうは思わないだろ」

「・・・」


確かにその通りかもしれない


周りが自然と結城夏哉に期待を寄せてしまう気持ちも分かる