「もう挨拶終わったしそろそろ帰るか」
「分かった」
父の秘書に声を掛けて会場を後にした
引き止める声もなく、呆気なく了承された帰宅に本当に駒でしかないんだと実感した
結局父、祖父は私のこと目に入れなかったもんな・・・
母は会場にすら来なかった
家族愛を知らない私がこのまま結城夏哉と結婚して家庭を築いてもいいのかな?
自分が嫌な思いをしてきたから子供にはそんな思いさせたくない
けどこのまま行けばそうなってしまう
私たちの中に愛情はないのだから・・・
-コンコン
「はい」
「俺だ。用意出来たか?」
「うん。大丈夫」
持ってきたバックを手に取って控室を出ると私と同じように私服に身を包んだ結城夏哉がいた
私服といってもだらしない恰好じゃなく一応ホテルにいてもおかしくない綺麗めコーデ。
それがまた欠点のつけようがないくらい似合ってるから腹立たしい
「普段はそういう格好なんだな」
「なにか不満でも?」
私が着ているのはショーパンにタートルネックのセーター。
いかんせん私はワンピースが苦手
パーティーとかじゃ仕方なく着るけど、普段着まで自分の着たくないものを着る程ドMでもない
