そんな悲しい自分の現実に溜息をつきたくなるのを必死に我慢してドアを開けた
ここから先は泣き言を言ったらいけない
私は人形なのだから
ドアを開けた先に立っていたのは卒業式の時に見かけた結城夏哉
高身長に見合ったスーツに似合うようにセットした髪
持ち前のルックスをさらに際立たせるかのような様相
向こうも私に気付きこちらに視線をよこした
「・・・」
「・・・神崎」
「はい」
「いいんだな?これで」
どうしてそんなこと聞くの?
それもこんなところで・・・
嫌なのは自分の方なんじゃないの?
「はい」
私には選択肢がない
いくら嫌でもそういうしかないじゃない
それを分かってて聞くなんてひどい男・・・
