「……そのあとお母さんの目の前に出たんだけど、後ろ見ても人が多くて通ってきた道なんてなかったんだよね」 あの出来事は不思議だった。 でもそれは怖い思い出じゃない。 どこか切なくて優しい思い出。 「思えばあの子は神地神社の神様なんじゃないかって思うんだよねー」 『どうしてそう思うの?』 「うーん、雰囲気的に」 ………ねえ、もうわかるよ。 君は思い出させてくれたんでしょう。