でも、両親は生きている。
わたしのところへ来ないのも、何か事情があるんだって……。
「早く楓の父さんと母さんが迎えに来てくれるといいな」
「うん……」
朔にまた頭をナデナデしてもらうと、さざ波立っていた心が潮を引くように落ち着いていった。
やっぱり朔の手で頭を撫でてもらうのは好き。
いつまでも撫でて欲しいと思ってしまう。
「……あ゛~……、でもな~」
「どうしたの?」
「だって、両親が楓を迎えに来たら、楓はこの家を出て行っちゃうだろ?楓がいない家での生活を考えたら寂しいなって……。それにお別れかもしれないから……」
シュンと落ち込んだ朔は小さい子供のよう。
わたしも朔がいない家での生活を想像してみる。
わたしたちは小さい頃からこの家で兄妹のように育った。隣に朔がいるのは当たり前で、一緒にいない時間の方が短い。
もしこの家を出たら、朔と離れている時間の方が長くなるのは確実。


