初めは何の音かわからなかったけど、一瞬で目が覚めるほどの大きな音だった。
すぐに母が慌てた様子で部屋来た。
あまり慌てた母を見たことがなかったから、すぐにただ事ではない雰囲気を感じ取った。
母はわたしを抱え上げるとすぐに家から飛び出した。
外は地獄だった。
全身を武装した人たちが、逃げ惑う人たちに向かって銃を撃つ姿。
耳を劈くような悲鳴。
硝煙の臭いと血の臭い。
この時感じた恐怖は今も忘れられない。
「何度も危ない目にあったけど、わたしたちは生き延びた。そして母はわたしをこの家に預けてそのまま姿を消したの」
「だったら楓の両親は」
「生きてる……って、信じたい」
もしかしたら父はあの日、母もすでに死んでしまっているのかもしれない。


