お昼休みのチャイムが鳴り、4限目の授業が終わる。ざわつきだす教室の音を聞きながら、俺は机に突っ伏していた。


「いつもの数倍疲れた」

「お疲れさん」


拓磨が笑いを堪えるような声でねぎらいの言葉を掛けてくれる。


「おまえ、風魔と猿飛を見過ぎだろ」

「だってよ、楓が……」

「風魔が心配なんだろ。わかってるよ。まったく、朔夜の風魔好きにも困ったもんだね」


やれやれと呆れたように拓磨が肩をすくめる。

俺はフンと鼻を鳴らすと、顔を反対側に向ける。


「……そういや、楓のやつ遅いな」


いつもなら昼休みが終わるとすぐに「朔、学食行こう」って言ってくるのに。

楓の席を見ると、そこに楓の姿はない。教室のどこを見渡してもその姿を見つけることができなかった。

そして、ついでの猿飛の姿もない。