「ありがとう、楓。でも、これは俺の勝負だ。だから俺ひとりでやる」

「……大丈夫?」

「大丈夫大丈夫。だから信じて待ってて」


楓は納得してなさそうな表情をしていたが、最後はコクッと頷いてくれた。


「捕まらないでね。朔が暴走族なんて絶対いやだから」

「了解」


楓の頭をナデナデすると、楓は恥ずかしそうに顔を逸らした。

いや~、笑顔の楓も可愛いが、恥ずかしがってる顔もたまらないな。

俺は湧きあがる愛でたい衝動をグッと堪え、手を離す。


「じゃ、楓。離れてて」


楓はコクッと再び頷くと、皇からかなり離れた位置に腰を下ろした。

本当に皇のことが嫌いなんだな。


「さて、皆さまお待たせしました。30分になったら始めますよ」