「……その目はなんだ。俺にケンカ売ってんのか?」


予感通り、リーダーは楓がケンカを売っているように感じたらしく、目つきが鋭くなる。

これはマズイと思った俺は2人の間に割って入った。


「落ち着いてください。ここで争ったら周りの人たちに迷惑がかかっちゃいますよ。ほら、楓。手を離せって」


楓はリーダーに視線を外すことなく、無言のまま手を離した。

でも、リーダーと楓の間の張り詰めた空気は変わらず。

まさに一色触発の状態だ。早く何とかしないと大変なことになる(鬼龍のリーダーが)。


「あ、あの、鬼龍の皆さん。俺と勝負しませんか?」

「勝負?」

「はい。俺が勝負に勝ったら鬼龍に入らない。逆だったら入る。これだったらお互い納得できると思うんです。どうですか?」


俺の提案に鬼龍のリーダーは後ろにいる仲間と皇と数回言葉を交わす。

睨み合いがなくなったことで、周りの空気が少し緩んだ気がする。


「いいぞ。で、勝負の内容は?」

「俺と鬼ごっこをしましょう」

「鬼ごっこ?」

「鬼龍の皆さんが俺を捕まえたら勝ちっていう単純なルールです。じゃ、昼休みが終わっちゃうので、早く外に行きましょう」