「あげるよ」 「いいの?」 「うん」 「ありがとう」 楓は喜んで俺の分の和菓子を食べ始める。 甘い物を幸せそうに食べる姿は普通の女子高校生だ。 やっぱり俺の考えすぎかな。 「本当に食べなくていいの?」 「幸せそうに食べるあなた様を見るだけでお腹いっぱいです」 「そうなんだ……」 夕日のせいで、そう見えるだけかもしれないけど、照れたように頬を微かに赤色に染める楓を一目見たあと、俺は机に置かれていた緑茶を飲んだ。