この高級な街で美しく佇むまだ若そうな彼女。



それに比べ、こっちは三十路を過ぎても独り身で、おまけに安月給のサラリーマン。




もう一度振り返り、目をやった。



すらっと通った高い鼻やぱっちりとした目元は外人を彷彿させる。



その見た目と明らかな立場の違いから俺は自虐の意を込め、名も知らぬ彼女を【ジュリエット】と呼ぶようになった。