「げっと・びっがー?」



「そう、ゲット・ビッガー。」




適当にシャツを羽織った小田桐君が、ふぁ~と眠そうにあくびをする。

さっさと説明を受けた私は、まだ少し頭が混乱していた。




(レオ君が小田桐君で、小田桐君がレオ君?)




わしゃわしゃと頭をかく向かい側の小田桐君を、私はじっと見つめる。




(言われてみれば...そうかも?)




どことなく、二人の雰囲気が似ているような気がした。

小田桐君の笑顔が無邪気なのは、レオ君の影響かもしれない。




「なんだよ。

疑ってんの?」



「いや、違うけど...

本当なのかな~みたいな。」



「やっぱ、疑ってんじゃん。」




そういった小田桐君は、テーブルに肘をついて、ため息をする。




「俺が夜中に侵入してきて、ベットに潜り込んだとでも?」



「いや、そういうんじゃなくて...」




答えに困った私は、仕方なくうつむく。




「...じゃあ、」




小田桐君はパッと私を見て、頬杖をついたまま、ニヤッと笑う。




「証明してやろうか?」



「...え?」




そういって手を伸ばした小田桐君の人差し指が、うつむいた私の顎をクイッと上げる。

真正面を向いた私の顔に、急接近する小田桐君の顔。




(な、なに?!)




自分の手の位置まで顔を近づけた小田桐君は、ピタッと止まって視線を合わせた。




「昨日のお風呂、気持ちよかった。」




小田桐君のその一言に、一時停止した私は、ボッと赤くなる。



そんな私に、ゆっくりと顔を近づける小田桐君。


じっと見つめていた小田桐君の瞳に、静かにおろされる瞼。




(キス、される...)




もう1センチの唇のキョリに、胸がドキドキと鳴り響く。