(このにおい...)




うっすらと目を開くと、俺は日葵に抱っこされていた。


俺は、日葵の首筋に、顔をうずめる。




(落ち着く...)




そんな俺は、この温もりに包まれたまま、眠りたいと思った。


そんな俺を引き離すかのように、日葵がそっと俺をベットに下ろす。




(行くな。今夜は...)




そう思った瞬間、窓の外がピカッと光った。

それと同時に、俺の手は、日葵のシャツの袖をつかんでいた。




「...レオ、君?」





(...もう、我慢できない。)



「おねえちゃん、行かないで。

ぼく、カミナリ怖い。」




そういった俺は、目をつぶって、袖を握る手に力を込めた。


そんな俺を、甘い香りがやさしく、包みこんだ。




「いいよ。

今日は、お姉ちゃんと一緒に寝よう。」




見えなくても目に浮かび上がる、日葵がやさしく微笑んだ顔。



俺の中の欠けていた何かが、満たされたような気がした。



日葵の胸の中で、日葵の手をギュッと握る。




(これが『温もり』、なのか。


もう、離せないかもな。)




そう思った俺は、そのまま深い眠りに吸い込まれていった。