「この道、俺の通学路なんだ。

で、今日、たまたま〔篠原〕って名札の家見つけて。

待ってたら来るかな~って思って待ってたら、ほんとに来た。」



「へ、へぇ~。」



(てか、私の事待っててお父さんみたいな知らないおっさん出てきたら、どうする気だよ!!)




私は一人、脳内で小田桐君にツッコミを入れる。




「どうしたの、日葵ちゃん?」



「ううん、なんでもない!」



(あなたにツッコミ入れとったんじゃ!!)



「そう?じゃあ、いこっか。」




そういって、私の手を掴む小田桐君。



 
 ドキッ


  

(ギャァアアーーーーー!!!

私の、ファースト手つなぎがぁ~!!)



「ちょ、ちょ、ちょ、

ちょっと、待ってくださいな!」




それを聞いた小田桐君が、ぶっと吹き出した。




「なに、それ? ツッコミ?!

俺、ボケたつもりないんだけど。」




そういった小田桐君は、まだ手を離そうとしない。


頭の中が大混乱中の私は、自分の心臓のドキドキが手から伝わるんじゃないかと、必死に手を引き抜こうとする。