どこまでが冗談なのかわからないが、カロンに自分の独り言がバレていると理解した小鳥。
馬鹿と言ってしまった事実をなんて言い訳しようか俯いて考えていると、頭を撫でてくれていたカロンの手が止まった。
「……確かにな。あんたの言う通り、俺は馬鹿だ」
「カロンさん…?」
髪からカロンの手が離れる。
「だからあんたを手放せないし、寂しい思いまでさせてる。なあ…俺はどうすりゃいい?」
問い掛けられてゆっくり見上げれば、カロンの歪んだ表情が小鳥の瞳に映った。
「どうすればあんたは、笑顔でいてくれるんだ…?」
カロンの指が小鳥の頬にそっと触れる。
緊張か戸惑いか、微かに震える彼の指先。
それを感じ取った小鳥は力を抜くようにふわりと笑った。
「簡単ですよ。カロンさんが笑顔なら、私も笑顔になれます」
「俺…?」
意外な答えだったのか、カロンが目を丸くする。
「カロンさんが落ち込んでると心配ですし、よそよそしいと不安になります」
「…うん」
「前みたいに、言葉を下さい。このDVDだって、無言で置いていきましたよね…?」
まだ流れているライブ映像を横目で見る二人。
「わかった…」
カロンは素直に頷いた。
「それから、あの……その……」
「ん?」
急に恥じらいだした小鳥の顔を覗き込むと、意を決した表情でこんな「お願い」が。
「ま…また、一緒の柩で寝て下さい!!」



