(ああ……くそぉ…。だからってガブとアブみたいに放してやる気なんかサラサラねー自分がこの上なくウゼー)
ガシガシと頭をかいて情けない溜息をついた時だった。
イヤホンから小鳥の声が聞こえた。
『カロンさん…』
自分の名を呼ばれて目を見開く。
(なに?)
心で答えてやれば小鳥はゆっくりと言葉を紡いだ。
『どうして、よそよそしいんだろう…。やっぱり私が悪いの…?謝った方がいいのかな?クマちゃん、どう思う…?』
(クマ太郎に話し掛けてんのか。つかなんだよ。小動物が悪いってなんの話?)
教師の声をうるさい雑音だと舌打ちしながらカロンは耳を澄ます。
『うぅ……ツライです。悲しいです。寂しい…です。カロンさんのばかぁ…』
「っ…!!」
涙声の小鳥。
間違いなく今、彼女はクマのぬいぐるみをギュッと抱きしめて泣いているだろう。
「小鳥っ!!」
ガタンと勢いよく席を立つ。
蜜莉やアルト、他の生徒達が何事だとカロンに注目する中、彼は廊下へ飛び出した。



