(あれ見てりゃ暇潰しになるだろ)
一人で頷きながら教室の時計をチラリ。
「あー、早く終われー…授業ぉー」
呟いたら隣でアルトも賛同してくれた。
(早く小動物を構いてぇー。最近、元気ないみたいだしな…)
あの日だ。
無理矢理、血を吸ってしまったあの日から小鳥は元気がなくなった。
(ハァ……悪夢見るわ、小動物は元気ねーわ、一緒の柩で寝れなくなるとか、ホントもうなんの我慢大会なわけ?マジないわ)
あんなことをやらかした後では小鳥が怯えるだろうから我慢して我慢して自分の柩で眠ることを決めたカロン。
それがストレスとなって更に夢見が悪くなり、起きて小鳥と一緒にいる時までそれを精神的に引きずっている。
(くっそ…あんな悪夢さえ見なければ…)
ちらつくのは夢の残像。
真っ暗な部屋の中、鎖で縛られ身動きがとれない自分。
開かれたドアから細い光が差し込んできてそちらを見ると、そこには少年時代のフェオドールの姿が。
兄は憐れむような眼差しを蔑みのそれに変えて自分を見下ろすのだ。
そして、ドアへと消える。
一度も振り返ることなく。



