さて、ある日の木曜日。
学校にて一時限目の共通授業「良い血液の見分け方」を受けながら、カロンは真剣な表情で耳にイヤホンをつけた。
「あ、授業中にカロンがイヤホンしてるー。めっずらしい」
「んー」
右隣に座っているアルトの小声に気のない返事をしつつ目を閉じる。
「ちゃんと授業聞かないで単位落としても知らないよ?」
カロンの左隣にいる蜜莉が忠告するも、馬耳東風。
講義に飽きてきたアルトがボールペンをクルクル回す横でカロンはイヤホンから聞こえる音に集中していた。
「ねえねえ、何聴いてるの?仕事のやつ?」
アルトが興味本位で尋ねると、首を横に振り、一言。
「小動物」
「え?」
「だから、小動物を聴いてんの」
「いやいやカロン?意味不明なんだけど。何?小動物って。聴くものなわけ?あ、曲のタイトル?」
「違う。俺の小動物がいい子にしてるかチェック中」
察しの良い蜜莉はこの会話で何と無くわかってしまった。
「まさかカロン…。それって音楽プレイヤーじゃなくて、盗聴器?」
恐る恐る問えば、拳を握り親指を立てるカロン。
「蜜莉大正解」



