こんなことがあってから、カロンは小鳥と一緒の柩で眠らなくなった。
就寝時刻になると「おやすみ」と言ってすぐ部屋から出て行ってしまう。
それでいい、それが普通で、今まで一緒に寝ていたのがおかしいのだ。
そう小鳥は自身に言い聞かせたが、どうしても胸がツキンと痛む。
(突き放されたみたいで、悲しい…)
一人で横たわるとやけに広く感じてしまう柩の中。
(一人なんて、慣れてるはずなのに……)
寂しい、と心が言う。
寝る時だけでなく、起きてカロンと二人でいる時もそう感じてしまうから余計にツライ。
(カロンさん、よそよそしくなったもん…。一緒にいて上の空って感じだし)
本人が意図的にやっているのかは疑問だが、確実に以前よりも一歩引いているような気がする。
(あの吸血のことを気にしてるの…?それとも、うなされてたこと?私がしつこく聞いたから…?)
色々と考えても出口の見えない迷路を歩き回るようで、寂しさと悲しさと辛さは募る一方だった。



