EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【カロン編】



 それから数日後のことだった。

この日もカロンは悪夢に苛まれているようで、小鳥は苦しげな声に目を覚ました。

「うっ…うう……」


(また、だ…。今日は一段とツラそう)


何度も寝返りを打つカロンはまるで何かから逃れようとしているみたいだ。

今日も小鳥が手を握ろうとした時だった。

突然カロンが言葉を発した。


「まっ、て……うそ…だよ、フェオ……うそだからっ……おいて、かないで…」


(カロンさん…?)


フェオとはフェオドールのことだろうか。


(うそ…?何が嘘なの?おいてかないでって……)


詳しいことは良くわからないが、カロンは「待って」と言っている。

ならば――。


「カロンさん、ここにいます。大丈夫…カロンさんを置いて、どこかに行ったりしません」


手をギュッと握り締め、伝わるように囁いた。

「大丈夫……カロンさんは一人じゃないです」

徐々に落ち着き始めるカロン。

その様子にホッとしていた時。

「え…きゃあ!?」

ゴロンと寝返りを打ったカロンが小鳥にのしかかってきた。