EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【カロン編】


「カロンを連れて、広場や公園に行った。昔の俺の遊び場だ」

サルのぬいぐるみを抱きしめたままついて来たカロンは、辺りの建物や道路を物珍しげに見回してから地下世界の暗い空を見上げて、言った。


――あー……たかい…


壁に囲まれて生きてきたカロンにとって、距離がはかれない光景はとても不思議なもので。


――たかすぎて、ちょっとコワイ


そんなことを言うものだからフェオドールはちょっぴり顔をしかめて聞いてみたのだった。


――なら、へやにもどるか?


――ヤダ。こっちのほうがいい。おれは、こっちのほうがスキだ


憧れを瞳に宿しながら、偽りの夜空を眺める。


――フェオ、ありがとう


連れ出してくれて嬉しかった、と笑うカロン。

フェオドールもつられて笑顔になったその時だった。



――カロン!!!!



悲鳴のようなシャルロットの声がした。


――カロン!!ああ!わたしのカロン!心配したのよ!部屋からいなくなるなんて…!


追ってきた母親がカロンに抱き着く。

嬉しげに夜空を眺めていたカロンの瞳は煌めきをなくし、一瞬で闇に染まった。