――だぁれ?
無断で部屋に入って来たフェオドールを見上げ、カロンは言った。
母親じゃないことに彼は少なからず驚いているようだった。
――君が、カロン?
フェオドールが問えば、カロンは傍にあったサルのぬいぐるみを抱きしめて小さく頷いた。
――おれは君の兄だ。おいで、こんなところにいる必要はない
優しい声で近寄れば、カロンは目を丸くする。
――あ、に…?おれの?
――そうだ。おれはフェオドール。フェオとよんで
――フェオ…
名前を呼んでくれた弟に笑みを送ると、フェオドールは首輪から伸びている鎖を見つめた。
鎖はどっしりとしたチェストの脚にグルグルと巻き付いている。
――……手伝ってくれないか、カロン
――なにを?
――チェストをたおす
二人掛かりで重たいチェストをどうにか横倒しにさせ、鎖を解く。
カロンの首に首輪はついたままだが、これで行動範囲が制限されることはなくなった。
その後、フェオドールとカロンはシャルロットに気づかれないよう屋敷の外へ出た。



