とその時、いきなりぬいぐるみが手足をパタパタ動かし始めた。
『コンニチハ!コンバンハ!オッハヨー!』
「わっ!ビックリした…!」
「な?しゃべるし動くだろ?」
クスリと笑い、カロンは小鳥の首につけた首輪のリボンを指先で弄った。
「寂しくなったら話し掛けてみな。まあ、俺がいるからあんたは寂しくなんかならないだろうけど」
飼い猫を愛でるのと同じ眼差しで見つめられ、なんだか恥ずかしい。
カロンから視線をそらしてクマのぬいぐるみをギュッと握る。
「この部屋にあるもんは自由に使っていいから。なんか足りなかったら言って。遠慮はするなよ?」
「は、はい…!ありがとうございます」
ペコリとお辞儀をしたらカロンは満足そうに微笑んだ。
「さて、と。じゃあ、ペットの餌でも作りに行くか」
「え、それって…まさか」
扉に向かいながらカロンは振り返って頷く。
「そ。あんたのメシ」
「ご飯なら自分で作りますよ」
「いいから。俺に任せろ。授業で人間のメシの作り方は習ったから平気だ。……たぶん」
最後の「たぶん」が気になるが、任せろという言葉を信じて小鳥は大人しく待つことにしたのだった。



