「カルボナーラを一つ」
「はい、カルボナーラをお一つ」
「“愛の極み”を三つ、“死女の夢”を一つ。以上だ」
(え…?)
小鳥が目を瞬かせる。
フェオドールから意味のわからない商品名が飛び出した。
「はい。“愛の極み”が三つに“死女の夢”がお一つですね。かしこまりました。少々お待ち下さい」
店員が遠ざかってから、小鳥は恐る恐る聞いてみた。
「フェオさん、今のは…何を頼んだんですか?」
「……血液だが?」
「えっ、あれが!?」
「色々と種類があるから、区別するために名前があるんだ」
「“あいのきわみ”はとってもアマイんだって」
オーレリアンが「ちゃんと覚えたもん!」という表情で教えてくれる。
「濃厚でいてまろやかな甘さが“愛の極み”。それに比べて“死女の夢”は酸味が強い」
甘い血液はチビっ子三人が、酸っぱいものはフェオドールが飲むらしい。
「ちゃんとグラスで来るから視覚的に問題はないだろう」
彼の言う通り、運ばれてきた血はそれぞれボトルに入っており、闇人の四人はグラスに注いでそれらを飲んだ。
小鳥の前には出来立てのカルボナーラが到着。
興味を示したカロンやルカに分けてあげるなどしつつ、小鳥も美味しく完食したのだった。



