淡いグリーンでライトアップされた通りを歩く。
広場から少し離れたそこは人間の世界でいうレストラン街だ。
「フェオさん、どこのお店に入るんですか?」
先程から店先に立ち止まっては歩き出すを繰り返しているフェオドール。
なかなか入る店が決まらないようだ。
「俺達だけならどこでもいいが…君がいる。できれば人間用の料理を出してくれる店に入りたい」
「あっ……気を遣わせてしまって、すみません」
「君が謝ることじゃない。人間用の料理を作らない店が悪い」
「人間お断り」の看板を横目にフェオドールは溜息を漏らす。
「だいたい、人間を伴侶に選ぶ闇人が多いのに、共に食事ができる店が少な過ぎる。時代遅れもいいとこだ」
いつもより饒舌なフェオドール。
ちょっとイライラしているようだ。
小鳥もフェオドールと一緒に店探しを頑張ろうと意気込んだ時だった。
「そこのご家族様~!うちの店は人間の方も大丈夫ですよ!いかがですか~?」
通りの端から女性の明るい声が飛んできた。
店先に出ている店員がこちらに向かって声を張り上げている。
「人間用の食事は出しているか?」
フェオドールが近寄って話し掛けた。
「はい、もちろんです。見たところ…旦那様とお子様は闇人。奥様のみ人間でいらっしゃいますね?」
「お、奥様!?」
「あら、違いましたか?」
「いや、正しい。彼女だけ人間だ」
とんでもない勘違いに焦る小鳥だが、フェオドールは冷静に対応。
「では店内の専用テーブルにご案内致します。どうぞ」



