EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【カロン編】





「じゃあ、後はよろしく。頑張れフェオパパ」

「悪いけど、俺も行くね」

白魔と静理が手を振り、離れていく。

これからリサイタルの予定が入っているという白魔に、資料集めのため本屋へ行きたいという静理。

どちらもチビっ子三人にはつまらないだろうと、別行動を取ることになった。


「さて、俺達はどうするか」

「そうですね…どうしましょう」

立ち止まったフェオドールと小鳥が広場の隅で考えていると、ぎゅるるるる~という情けない音が聞こえた。

「…お腹へった」

そう言ってフェオドールの服をクイクイ引っ張るのはカロンだ。

「おまえ!ぼくのにいさまにさわるな…!」

射的ゲームの時以来フェオドールの抱っこから下ろされていたオーレリアンが、カロンを足でゲシゲシ蹴る。

「やめなさいオーレリアン」

「むう…」

足癖の悪い末っ子を再び抱き上げると、フェオドールは飲食店が多い通りへと歩き出した。

「腹が減ったなら、どこか店に入ろう。マドモアゼル、ルカとカロンを頼む」

「はい」

小鳥は右手でルカと、左手でカロンと手を繋いだ。


(なんだか、お化け屋敷を思い出すなぁ)


あの時もこの二人と手を繋いだ。


(今はお二人とも小さいから、あの時とはちょっと違うけど…)


キュッと握ればギュッと握り返してくれる二人が可愛くて、ついつい顔がにやけてしまう小鳥だった。