「あー……まけた」
白魔が230点、カロンは220点。
全て投げ終わった後の合計点を比べてカロンは沈んだ声を出した。
ちなみにルカは150点だ。
「なかなかやるじゃない。僕と十点差なんてさ」
「くやしい」
兄弟の会話を聞きながら、小鳥は何のトラブルもなくゲームが終了したことに安堵した。
フェオドールと静理が他の屋台へ行こうと歩き出すので、後について行く。
と、その時。
「お姉ちゃん、あげる」
カロンに話し掛けられ、ズイと何かを差し出された。
「これは……ストラップ?」
シンプルな黒猫のストラップ。
「二百点いじょーだったからくれた。けどおれ、いらないから。お姉ちゃんがもらって」
ちょっぴり照れた様子で上目遣いをしてくるカロンが可愛い。
「ありがとうございます」
小鳥はニッコリ笑って機嫌良くストラップを受け取った。
「小鳥、僕のもあげるよ」
白魔からはコウモリのストラップ。
「おい…おれが先にあげたんだぞ。あんたはあげるな」
「チビカロンのくせに生意気」
上下関係をわからせるべく、カロンの額に白魔自らデコピンを一発お見舞いしてやる。
「いたっ…!」
涙目になってキッと白魔を睨みつけるカロン。
長男に敵対心を燃やす彼の頭をよしよしと撫でながら、小鳥は次の店へ向かった。



