「ここにお引っ越し、か…」
カロンが出ていった後、小鳥は小さく溜息をこぼした。
(首輪だけじゃなくて、全部の荷物移動を頼めばよかったな…)
基本この部屋には何でもある。
確かカロンはそう言っていたが、やはり自分の使い慣れた私物が傍にほしい。
(着替えの服とか…あるの?)
化粧台の横にある衣装ダンスをそっと開けてみる。
すると中に女の子らしくて可愛らしい服の数々を発見した。
「わあぁ…!これってあれだよね。フェミニン、てやつ」
レースやフリルのついたフェミニンタイプの服がズラリ。
(これって、カロンさんが選んで買ったのかな…?)
首を傾げていると、急に背後から抱きしめられた。
「なーに見てんの?」
「ひゃあ!?かかかカロンさん!?」
「へぇー、服か。気に入ったのある?俺的にはこれとか…」
数ある中の一着に手を伸ばすカロン。
抱きしめられた状態でドキドキしながら小鳥は彼の顔を見上げた。
「あのっ…ここにある服って、全部カロンさんが揃えたんですか?」
「ああ……まあ…だいたいは。八割俺。あとの二割は…お袋の」
「お母さんの…?」
「そ。本当ならお袋の服なんて全部捨てちまいたいんだけどな。デザインが気に入ってて捨てんの勿体ないやつだけ残してる」



