それは手の平サイズの四角い箱だった。
箱の表側にはキャンディーのようなお菓子の絵が描いてある。
「これは…?」
「向こうの露店で買った。店主イチ押しの菓子らしい。ありがたく食え」
「えっ、もらっちゃって良いんですか?」
「フッ…餌を与えて懐柔するのも、人間を効率良く支配する一つの手段だからな」
カッコつけて腕を組む氷河。
その隣で月那が苦笑しながらコソッと言った。
「ごめんね。氷河さま、素直じゃないの。本当はこの前ヒドイことしちゃったお詫びなんだよ?」
「こら月那!」
ちょっぴり照れる氷河を見て白魔がクスクス笑う。
「へー、反省とかしてるんだ。僕の脅しが効いたのかな?」
「白魔さん…?脅したんですか…?」
「君のためにね、プリマドンナ」
氷河は白魔から月那を守るように自分の背中へ隠した。
それをどうでも良さそうに眺めていたカロンが、不意に小鳥から菓子箱を奪う。



