EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【カロン編】


聞き覚えのある声だと気づき、改めて男性客の顔を確認する。

「あ…氷河さんと、月那ちゃん?」

「ふえ?あっ!小鳥ちゃん!」

「ん?お前…櫻井小鳥か。それにクラヴィエ家の連中まで」

「げっ!魔冬氷河。なんでここに」

黒髪の青年、氷河をルカが警戒モードで睨みつける。

「今日は創世祭だ。俺も祭りに参加している。お前達にも平安があるといいな」

「はいはいどーも。で、軍学校は?」

カロンが問えば氷河は魅力的な微笑を浮かべた。

「さすがに今日は休みだ。生徒達も皆それぞれ祭りを楽しんでいるぞ。野薔薇の奴なんて、お前のライブを見るために一番前を陣取っていただろう。気づかなかったか?」

「蜜莉の姉貴…?そういや……いたような、いなかったような…」

首を傾げるカロンに呆れる氷河だったが、ふと小鳥を見つめた。

「そうだ。おい、お前。これをやろう」

腕に提げていた紙袋から「あるもの」を取り出し小鳥に渡す。