文句を言いつつも皆と一緒に歩く。
そんなカロンの横にくっついて小鳥も露店を見て回った。
(飾りつけはクリスマスみたいだけど、こういう出店は夏祭りを思い出すなぁ)
ゲームができる店や雑貨屋、食糧である人間を売る店もある。
(うっ……見なきゃ良かった…)
じっくり店を覗いたわけではないが『人間あります』の看板が目につき、嫌な気分に。
やはりここは吸血鬼の世界なのだと再認識させられた。
安心を求めてチラリとカロンの顔を見上げる。
すると、ある一点の方向をジッと見つめている彼に気がついた。
(カロンさん…何を見てるのかな?)
カロンの視線を追えば、辿り着いた先には可愛いパンダのぬいぐるみ。
どうやら射的ゲームの景品のようだ。
(もしかしてカロンさん……あれがほしいのかな?)
またチラリとカロンの目を見れば、キラキラ輝いていたので納得する。
(ほしいんだね)
小鳥が思った通り、カロンは兄弟達にこう言った。
「運命の出会いがあったから射的やってくる」



