ステージの方を見れば、カロンがこちらをガン見していた。
『小動物、今すぐこっち来い。ステージに上がれ』
「ええっ!?私が!?」
「げっ!カロンのやつ、マジかよ!」
ルカが呆れる隣でオーレリアンが小鳥にアドバイス。
「馬鹿の言うことなんて聞く必要ない。無視しとけ」
「えっ…でも…」
おろおろしていると更にカロンの声が飛んできた。
『おーい、そこのー。ピンクの首輪つけてるしょーどーぶーつ。聞いてるかー?シカトすんなー』
「はいぃい!」
ビビって返事をしてしまったせいか、周囲の視線が一斉に小鳥へ向く。
『ったく…』
サビが始まった瞬間、カロンはステージから駆け降りた。
『キミKISS争奪戦!あいつには渡さない』
歌いながら聴衆の間をかきわける。
小鳥の目の前まで迫ると、カロンは溺愛中のペットをヒョイと抱き上げた。
「えっ、あ…!きゃ!?」
『奪うチャンス見極め、KISS KISS KISS!』
兄弟達に見せつける如く、歌詞に合わせて小鳥の頬にキスを落とす。



