無断で小鳥の部屋に入り、テーブルの上にお手製の首輪を見つけたカロン。
自室へ戻ろうとした丁度その時、廊下でフェオドールと出くわした。
「カロン」
「ん?ああ、フェオか。なに?」
指先で首輪をクルクル回す弟にフェオドールは咎めるような眼差しを向ける。
「……マドモアゼルを、閉じ込めるつもりか?」
ピタリとカロンの手が止まった。
「カロン、どうしてそんなことを?お前だって、昔は――」
「うるさいんだけど」
冷たい声がフェオドールに落とされる。
カロンは無表情で歳の近い兄を見下ろした。
「俺の前で昔の話とかするなよ。反吐が出る――」
吐き捨てて、歩き出す。
そんな弟の背中をフェオドールは悲しげに見送った。
「お前だって、昔は……閉じ込められて、泣いていただろう…」
フェオドールの独り言は廊下の暗闇に虚しく消えた。



