「ボーッとして、どうしたの?僕のプリマドンナ」
「えっ、あ…何でもないです白魔さん」
カロンがいないのを良いことに背後から抱き着いてくる白魔。
そんな長男を引っぺがすべくルカが小鳥を誘う。
「ほら、出店がいっぱいあるよ!カロン待ってる間に見て回らない?」
広場の周りにはいくつもの屋台が出ていた。
「あ、ナイフ投げがある」
数ある中の一つに目をとめ、白魔が言う。
「僕は射的やりたい」
珍しくオーレリアンが遊ぶ気満々だ。
元気な弟を横目に静理が微笑する。
「雑貨屋もあるね。小鳥ちゃん、どうする?」
「えっと…」
小鳥が屋台に気を取られていた丁度その時。
マイクを通してカロンの低音ボイスが広場に響いた。
『あんたらさ、俺のペットにたかってんじゃねぇよ』
「へ…?カロンさん!?」
曲の間奏部分で私情をぶっこんできたアイドルに、集まっていた女性ファン達がざわめき出す。
「カロン様のペット!?だれだれ~!?」
「人間かしら?」
「うらやましいー!」



