EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【カロン編】



 創世祭は闇人にとってとても大切なお祭りらしい。

地上で迫害されていた闇人達が一致団結して地下世界に街を作り上げた記念日であり、それを忘れないために毎年盛大に祝われている。

祝い方にこれといった決まりはないが、街に出て他人とすれ違ったら「あなたに平安がありますように」と挨拶するのがマナーのようだ。

広場の野外ステージに到着するまでの間、小鳥もすれ違う多くの闇人からこの言葉をもらった。


(それにしても、このイルミネーション…クリスマスみたいだよね)


道すがら、青い輝きで統一された周りの景色を楽しむ。

建物の屋根から道路の低い位置に至るまで様々な光る装飾が施され、普段薄暗い世界がやけに明るく見えた。


(とっても綺麗…)


広場に近づくにつれて人が多くなり、光の色もほんわりとしたオレンジ色に変わる。


「あ、カロンさんの歌、もう始まってる!」

聞こえてきた歌声とノリの良い音楽。

祭りを楽しむ人の声。

「うわ~!盛り上がってるな!」

ルカが広場の中央を見て口笛を吹いた。