過去の夢を見ていたカロンは冷や汗をかいて目を覚ました。

「……うわー……寝覚め悪りぃ…」

久しぶりに夢の中に母親が出て来た。


(なんで、今更…)


頭をガシガシと掻いて、チッと舌打ち。

おそらく、昨日の小鳥との会話が原因だろう。

柩の中、カロンは隣で丸まってスヤスヤ眠っている彼女を見つめた。

「ハハッ……可愛い寝顔」

ツンと軽く頬を突いてみる。

すると顔をしかめて身じろぎしたが、小鳥は目を覚まさなかった。


「あんたに何もかも話せたら……俺は楽になれるのか…?」


救われたい、という願望がないわけじゃない。

けれど――。


(理解ができたところで、受け入れてくれるかは別問題だろうな…)


起こさないように、そっと抱きしめる。

「小鳥…」

再び眠りにつこうとカロンは目を閉じた。

悪夢を見ないよう、祈りながら。