どうやら部屋から出る自由はないらしい。
けれど無理に脱走を試みなければ鎖に繋がれることはない。
この特別な部屋の中では自由ということだ。
(カロンさんを選んだら何となくこうなるかなとは予想してたけど…)
もうちょっと自由があったって良いじゃないか。
「あの…ご飯の準備は…」
「俺が作ってきてやる」
「お風呂の時は…」
「俺が連れてってやる」
「と、トイレ…」
「俺が――」
「カロンさん!真面目に答えてますか!?」
「あー…うん。大真面目なんだけど?」
小鳥が胡散臭げにカロンを見上げれば、彼は困ったように溜息をついた。
「とにかくだ…。廊下に出たかったら俺に話してくれれば許可してやるから。黙っていなくなることだけはするなよ。いいな?」
「はい」
カロンの許可さえ得られれば今まで通りの生活ができそうだ。
希望的観測を見出だしていると、小鳥の首をジッと見つめていたカロンが唐突に言った。
「あんた、俺があげた首輪はどうした?」
「あ、部屋にあります」
「そ…。なら取りに行くか。あんたはここにいなよ」
念を押すように言うと、カロンは一人で部屋を出た。