「ち…誓います。二度と…勝手な行動は、しません」
望む言葉を囁けば、安堵したようにカロンの表情が和らいだ。
「ん……そう。それでいい」
――ジャラリ
足枷の鎖が鳴る。
カロンはひざまずくと、約束通り足枷を外してくれた。
「ごめんな。俺だって本当は足枷とかさせたくねーんだ」
「え…」
「こんなもん、しない方が楽だろ?それとも何?あんたはしてたかったのか?」
そんなわけないと勢いよく首を横に振れば「だろ?」と笑うカロン。
「俺は優しいからな。マジの鎖で動けないように縛り付けるなんてことはしない。その代わり…」
足枷をしていた小鳥の左足を持つと、カロンは剥き出しの足首にチュッと口づけた。
「あっ!カロンさん!?」
ペロリと肌を舐められたと思った瞬間。
――ブツリ
「痛っ!」
「んっ…」
足首に食い込んだ牙。
傷つけられて溢れてくる血をカロンは味わいながら啜る。
「カロンさん…!やめっ…」
ソファーに座る小鳥は涙目でカロンを見下ろした。
自分よりも大きい彼がひざまずいて足首を舐めている。
カロンは自身をご主人様、小鳥のことをペットと呼ぶが、今は彼の方が主人に仕える下僕のようだ。
少しして唇が離れ、カロンの赤い瞳が小鳥を仰いだ。
「あんたが俺に誓った証しだ。この牙痕を見るたびに思い出せよ?あんたが誰のモノなのか」
足枷の代わりにつけられたものは、くっきり残った二つの牙痕――支配と独占欲だった。



